社団法人 台湾愛兔協会(あいときょうかい)
社団法人 台湾愛兔協会
たった3人で始まった台湾愛兔協会から、
台湾有数の兎の保護協会へ
住宅の1室からたった3人で始まった地道な活動が実を結び、今では台北市と高雄市に大きな2つのシェルターを持つ、
台湾有数の保護協会として知られています。
不幸なうさぎを増やさないため、保護後に去勢・避妊手術を行うことはもちろん、譲渡条件として「マイクロチップの埋込」を定めています。
保護活動以外にも、うさぎの用品ショップやペットホテルの運営、獣医師を招聘しての勉強会、子供向けレクチャーの主催等、
うさぎに関する活動を広く手掛けています。
団体基本データ(2019年取材時点)
団体名称 | 社団法人台湾愛兔協会 |
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設立年 | 2009年 |
人員構成 | 会長1名 執行役1名 職員3名 ボランティア約90~120名(年間) |
うさぎの保護頭数 | 120~150匹(年間) |
年間収支*2018年 | 寄付合計 3,067,723台湾元(日本円で約1,100万円) 支出 4,628,914台湾元(日本円で約1,650万円) |
所在地 | 【台北施設】 台北市內湖區文湖街60巷34號4樓 【高雄施設】 高雄市前鎮區中華五路949號 |
webサイト | https://www.loverabbit.org/candy/ |
沿 革
- 2018年台湾南部の高雄市に保護施設を新設。
- 2016年フロアを3フロアに拡大。
名称を「台北市愛兔協会」から「台湾愛兎協会」に変更。 - 2014年台北市内湖区にある現在の拠点に移転(1フロア)。*スペースが広くなり、うさぎのホテル、飼育用品販売ブースを併設するように。
- 2009年2月2日、「台北市愛兔協会」として団体を登録。*発足時のスタッフは3名のみで、自宅での保護から始まった。
9月、台北市北投区に「愛兔之家」を開設。*最初の保護施設。ただ、施設と言っても、個人の住宅環境に似たごく小規模のものだった。
WOOLYによるインタビュー
インタビューを受けてくださったのは…
社団法人台湾愛兔協会 企画係TINA(ティナ)さん
「愛兔協会」立ち上げに携わった3人の創設者のうちの1人。現在は職員として、企画や広報にまつわるあらゆる業務を手広く担当している。多忙を極める毎日ながら、根っからのうさぎ好きで常に明るい笑顔を絶やさない。
1.保護うさぎや、シェルターのこと
うさぎの保護頭数*2019年取材時点
年間で120~150匹程度
年齢の割合 | 常に変動します。最も多いのは生後5,6ヶ月のうさぎです。 |
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主な保護先 | 個人や牧場など。 一般の方からの通報や、保健所からの情報提供で駆けつけます。 |
保護頭数推移 | うさぎ年のときは200匹を超えましたが、それ以外は毎年120~150匹の間で推移しています。 |
保護施設(シェルター) | 現在は2つの拠点があります。 台北市(3フロア):最大120匹まで 高雄市(3フロア):最大80匹まで *冷暖房完備 |
保護環境のこだわり | 出産を控えている子や、重傷を負っている子には専用のスペースを作って、あらゆるうさぎを保護できる環境づくりに力を入れています。 |
WOOLYインタビュー
2拠点のうち、今回は台北市の保護施設にお邪魔しました。
── とても明るく清潔感のある、素敵な空間ですね。
ありがとうございます!
初めて公立の保健所を訪れたとき、悲しい気持ちになってしまうほど暗く、冷たい雰囲気だったことに大きなショックを受けました。
そこで自分たちが保護施設を作るときは、そんな負のイメージを一新させる「明るく、楽しい」場所にしようと決意したのです。
「愛兔協会」は、里親希望の方に限らず、うさぎのことを知りたい方、情報交換したい方、うさぎを愛するすべての方に気軽にお越しいただきたいと思っています。
明るく清潔感のある素敵な空間
入ってすぐのエントランスには、ビタミンカラーの家具や大きなぬいぐるみ、イラスト、うさぎの生態や飼い方をわかりやすく紹介したパネルなど、うさぎ愛に溢れた明るい空間が広がっています。
── エントランスの奥がうさぎの保護スペースですね。いくつかのエリアに分かれているようですが。
ここ台北市のシェルターでは、最大120匹のうさぎを保護することができ、目的やうさぎの状態によって大きく4つの飼育環境に分けています。
順を追ってご紹介しますね。
まずはこちら。健康状態が良好で、里親の希望を募っている子に過ごしてもらっているエリアです。ちょうど今はお掃除の時間ですね。
ケージは特注で、なるべく多くの子に、快適に過ごしてもらうために愛兔協会のスタッフで考案したんですよ。
給水器やステップの高さはその子ごとに調整できたり、必要に応じて「ペットカメラ」を設置できるよう、コンセントもそれぞれのケージに備え付けてあります。
── 白いケージで使い込まれているはずなのに、汚れを全く感じさせません。日々のお手入れが行き届いていることが分かります!
お掃除もすごくしやすそうですね。
── あれ? 向こうの少し小さなケージにいるのは…。
モルモット専用ケージ
うさぎ用よりひとまわり小さい、モルモット専用ケージ。中には食器やトイレ、木製のハウスが用意されています。
保護を決めたからには、主催する獣医師講習会のテーマにも取り上げるなどして、スタッフはモルモットの飼育知識をしっかり身につけているとのこと。
さて、お次はこちらのエリアです。
こちらも先ほどと同じく、中にいるのは健康で新しい家族を待つうさぎたちです。
違いは、ケージとケージ内のアクセサリですね。
── もしかして、特注のケージが足りなかったんでしょうか…?
いえいえ!(笑)
ここではあえて市販のケージやアクセサリを使っているんです。
愛兔協会内でのお世話では圧倒的に特注ケージが便利なのですが、ご家庭で使われることはありませんからね。
お迎え後のお世話をレクチャーしたり、イメージしてもらうのに、市販品を使って一般的な飼育環境を再現しているんですよ。
── なるほど、確かに実際の飼育環境が想像しやすいですね。
それでは、次は奥の場所をご案内します。
このスペースには、保護されたばかりや、軽度の病気を持っているうさぎ、妊娠・もしくは産後間もない母子のうさぎ等、お世話に注意が必要な子たちがいます。
繊細な子が多いので、出入りの多いエントランスから離れた奥の場所にスペースを設けています。
ここにいる子は状態が安定するまで、里親募集には出しません。
例えば、こちらは妊娠した状態で保護され、先日出産したうさぎの親子です。
── 親子でのびのび過ごせるよう、ケージも広めですね。
上部に何かの機械がついているようですが?
ペットカメラで見守り
見守りが必要と判断されたケージには職員と、寄付者も映像を見ることのできるペットカメラが設置されます。
映像は24時間いつでもスマートフォンから見ることができ、この親子の出産は多くの人がカメラを通して見守ったそうです。
── 動画の映像と比べると子うさぎはずいぶん大きくなっていて、順調に成長しているんですね!
うさぎにストレスをかけずに、様子を見守ることができて良いですね。
理想的にはすべてのケージにペットカメラをつけたいですね。今はまだ、健康な子のエリアでは、カメラの寄付があった子以外には資金的な問題で導入できていないので…。
さて、最後にご案内するのは重症の子たちがいるエリアで、一部は酸素室になっています。
健康なうさぎたちのエリアはボランティアスタッフにお世話をお任せしていますが、こちらと先ほどのエリアでは専任の職員のみがお世話を行っています。
保護されるうさぎは、健康な子たちばかりではありません。
およそ15%のうさぎが、回復が難しいほどの重い疾患を抱えた状態で保護されます。
完治するまで里子に出すことはしません。
一部の子は、そのまま協会内で最期を看取ることもあります…。それでもなるべく幸せに、痛みがなく過ごせるように、専任の職員が付きっきりでお世話や通院、投薬を行っています。
── 不当飼育によって怪我や病気になってしまったうさぎを見るのは辛いですね…。
はい…。
愛兔協会を設立して初めて保護した子も、後ろ足がひどく爛れた子でした。今でもよく覚えています。
他にも、虐待によって骨折し、ぼろぼろになった体で道端に捨てられた子、元々は軽い皮膚病だったのに、治療を受けさせなかったために悪化して膿が全身に広がった子、正しい飼い方を知らない飼い主のもとで、栄養失調になって痩せ細ってしまった子……たくさんのうさぎを見て来ました。
でも、回復して元気な身体になれば、大切に可愛がってくれる、新しい家族と出会えるチャンスはたくさんあります。傷ついた子のケアには、獣医師とも連携して尽力しています。
愛兔協会では、救助からうさぎが元気を取り戻すまでの様子を一部記録し、youtubeで公開しています。
流浪兔保護協会のwebサイトこのうさぎは、発見者が最初うさぎだとは思わなかったというほど、痛々しく変わり果てた姿(写真左)で路上に遺棄されていました。
動画はこちら
愛兔協会では、救助からうさぎが元気を取り戻すまでの様子を一部記録し、youtubeで公開しています。
保護当時、爪は伸び放題で被毛はぼろぼろ、鼻のかさぶたが角のようになっていたうさぎ(写真左)。
愛兔協会スタッフの献身的なケアにより綺麗な姿を取り戻し、温かい里親さんに迎えられました(写真右)。
動画はこちら
── (動画を見て)保護前と後ではまるで別人(兎)のようです。保護される前の苦しみは、どれほどのものだったしょうか…。
最終目標は新しい家族のもとへ送り出すことだと思いますが、実際に里親の見つかる割合を教えていただいてもよろしいでしょうか?
健康なうさぎであれば、保護から1年以内に8割ほどが新しい家族に迎えられています。
2年以内では9割以上になりますね。
── 多くのうさぎさんに新しい家族が見つかっているのですね! かなり高い数値に思えます。
それでも、里親さんはしっかり厳しく選考しており、マイクロチップの埋め込みを義務化していますので、譲渡後に不当飼育が発覚したり、返却の申し出がある割合は1%未満なんですよ。
ただ、悲しいことに遺棄されるうさぎの数はなかなか減ってはいきません。
愛兔協会では、台湾全土に保護の輪を広げるために、昨年(2018年)台湾南部の高雄市にもシェルターを新設しました。高雄のシェルターはオープンしたばかりでまだまだ人手や資源も充足していませんが、台南地域をカバーする重要な拠点になっていくと考えています。
1匹でも多くのうさぎを救うため、これからも活動を続けて行きますよ!
2.里親への譲渡手続きに関して
WOOLYインタビュー
── 保護されたうさぎは、どのような手順で里親さんに迎えられるのでしょうか?
まずはご希望のうさぎを選んでいただきます。
実際に愛兔協会のシェルターに会いに来ていただくこともできますし、webサイト上でもうさぎの情報を公開しているので、そこからご覧になれます。 ただし、8ヶ月以下の幼兎はご希望いただけません。
次に申込書を提出していただきます。協会へ直接お持ちいただくか、こちらもwebサイト上からお申し込みいただけます。
愛兔協会のwebサイト
愛兔協会のwebサイトでは、台北・高雄それぞれに在籍する保護うさぎやモルモットの詳細な情報が確認できます。各うさぎの個別ページには「申し込み」ボタンがついており、webサイト上から里親希望の申請を行うことが可能となっています。
里親の条件として、特に下記4つは必須項目です。
- ①満20歳以上で安定した収入源があること。
- ②家族全員の同意が得られていること。
- ③譲渡後にマイクロチップの埋め込みと登録を必ず行うこと。
- ④飼育することになる部屋の写真と、飼育に必要な用品の写真もしくは購入予定のリストを事前に提出すること。
他にも、申し込み時には飼育知識などを問う質問に答えていただきます。
一次審査はコンピュータにより行われ、身分証番号に偽りがある方、うさぎへの基礎知識が無い方、過去に不当飼育等で通報されたことがある方、牧場や学校、店舗等の自宅以外で飼育予定の方は自動で除外されます。
── 日本では、うさぎにマイクロチップを埋め込むことは浸透していないので、目新しく感じます。
マイクロチップは新たな遺棄や不当飼育を防ぐことに大いに役立つと考えています。
すでに1度人間の身勝手で棄てられたうさぎを、再び不幸な目に遭わせる訳にはいきませんからね。
譲渡に際して、協会で必ず実施する避妊・去勢施術費用やそれまでの飼育費等をいただくことはありませんが、譲渡後の「マイクロチップの埋め込み」に関しては里親さん負担で必ず行っていただくよう固く約束します。
── 一次審査の通過後は面接でしょうか?
はい、協会スタッフによる面接を行います。
面接の基準を説明することは難しいのですが……とにかく、「うさぎが幸せに暮らすことができるか」という観点で信頼できる里親さんかを見定めます。
厳しく選定した上で、時には2匹を同時に家族に迎えていただくこともありますよ。
面接に通過した方には飼育に関する誓約書を交わした上で、譲渡が決定いたします。
── 譲渡後も里親さんとの交流はありますか?
里親さんには、SNSでも協会にお越しいただいても良いので、定期的に近況報告を行っていただくようにお願いしています。
あまりに音沙汰がない場合は、こちらから飼育状況の追跡を行うこともありますね。
協会では定期的に里親さん同士が集まる交流イベントも開催していて、とても好評ですよ。
3.職員やボランティアスタッフのこと
人員構成*2019年取材時点
会長 1名 執行役 1名 職員 3名
ボランティア約90~120名(年間)
職員 3名 | それぞれが専門の役割を持っている。 ① 企画や広報を担当する係(TINAさん) ② 特別なケアを必要とするうさぎのお世話係 ③ 保護や救助に関するとりまとめを行う係 |
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ベテランボランティア 約10名 | 職員が信頼を置いている、活動歴の長いボランティアスタッフ。 施設の運営を補助する他、ケアが必要なうさぎを自宅に連れて帰り、お世話をする場合もある。 |
施設内ボランティア(シフト制) | 施設内のうさぎのお世話(掃除、給水、給餌、爪切り、グルーミングなど)を行う。 |
施設外ボランティア(不定期) | 愛兔協会が主催するイベントやバザー、展示会出展時の補助、うさぎの救助活動など、突発的に人手が欲しいときに日時を指定して募集される。 月2,3回行われる小さな催しで毎回8名程度、大型のイベントで20名程度が集まる。 |
ネット上のボランティア | SNS上の問合せの取次など、webを通して手助けをしてくれる有志の方々。 名簿などはなく、人数も把握はしていないが、多くの人が善意を持って協力している。 |
WOOLYインタビュー
── 職員であるTINAさんは、愛兎協会立ち上げからのメンバーですよね。
最初は何名でスタートしたのですか?
協会設立時のメンバーは、私と、現会長、執行役の3名でした。
今の私は企画を担当する職員として給与をいただき、愛兔協会一本で活動していますが、立ち上げ時は全員がボランティアだったので、会社員としての仕事と両立する日々でした。
ちなみに、私と執行役はもともと同じ会社の上司・部下の間柄だったんですよ。同じうさぎ好きとして意気投合し、活動に誘われたんです。
── たった3名の活動から、これほど大きな組織になったのですね。
ボランティアスタッフは活動の肝だと思いますが、どのように募集されているのでしょうか?
主にwebサイトからお申し込みいただいています。
ボランティア専用のwebページを用意していて、一度ボランティア登録をしていただくと、マイページへのログインでボランティアを必要としている日時がわかったり、希望の内容に参加の申し込みができるようになります。
── ボランティア用のシステムを完備されているのですね!
見たところ、大きく分けて「施設内のうさぎのお世話を行う」ボランティアと、「イベント補助や救助活動に従事する」ボランティア活動の2種類があるようですが、それぞれどのような条件で募集されていますか?
まず、施設内のボランティアは、男女共に満13歳(中学生)以上から1人で応募することが可能です。ただしご両親と一緒であれば、小学生でも参加できます。
1回5時間ほどのまとまった時間をとれることが条件で、シフトを組んで定期的に活動していただきます。
活動時間はおおむね、平日で13:00~16:00、休日で10:00~16:00です。
── ボランティア内容はどのようなものでしょうか?
基本的にはうさぎのケージを掃除したり、給水、給餌、爪切り、グルーミング等のお世話ですね。
熟練度に応じて任せる内容も異なります。
ボランティア1人につき3匹の担当うさぎが決められるので、みんな担当のうさぎに愛着を持ってお世話していますよ。
── 担当のうさぎがいると、定期的なお世話がより楽しくなりそうですね。
次にイベントや救助活動補助の不定期なボランティアスタッフですが、こちらはやや年齢が上がって満16歳以上が対象となります。
活動時間はだいたい1回5~8時間程度ですね。
ボランティアが必要なイベント毎にこちらで日時や場所を指定して、現地に直接集合していただきます。
── ボランティアに参加する方は、どのような方が多いですか?
やっぱりうさぎ好きが多く、家で飼育してたり、過去に飼育していた方が多いです。
学生が6割、社会人が4割ほどですね。
交通費は自己負担になってしまうのですが、それでも台湾全土からの応募があります。
── 広く愛兔協会の理念や評判が広がっているからこそですね。
愛兔協会でのボランティア活動の魅力はどんなところだと思いますか?
ボランティア自身も成長できることでしょうか。
愛兔協会では、トリミング講習や獣医師による講演会も数多く主催しています。
そういった催しに参加し、実際のボランティア活動で講習内容を活かすうちに、うさぎに対しての知識を深め、スキルを磨いていく方も多いです。
実際に、ボランティアが中心となって「うさぎのトリミング」イベントを開催することもあるんですよ。
4.運営に関する資金のこと
年間支出入*2018年
収入 3,067,723台湾元 ※寄付のみ(日本円で約1,100万円程度)
支出 4,628,914台湾元(日本円で約1,650万円)
WOOLYインタビュー
── 非営利組織として、やはり資金調達の問題は大きいのでしょうか。
そうですね。特に政府からの決まった補助金がある訳でも、大きな企業がスポンサーについている訳でもないので、個人の方からの募金が頼りです。
特に正式な団体として認証される前は、やはり信頼性がないので、寄付を集めることがとても難しかったです。余談ですが、当時は保護に駆けつけても不審がられたりしていましたね…。
そうした苦労も経験してきたので、たくさんの方に支えられている現在の状況はとてもありがたいです。
しかも寄付をしてくださっている方の多くは、毎月自動で定額が振り込まれる「定額寄付」に申し込んでくださっているんですよ。
── 「定額寄付」の割合が高いと、財政基盤の安定化にもつながりますね。
はい。ただ、今のところ寄付金額だけでは出費を賄えていないので、ペットホテルや用品の販売、バザーの開催等で資金を補っています。
全収入の割合としては、定額寄付が55%、一般寄付が28%、そのほかホテル・商品売上等で17%程度ですね。
ショップスペース
こちらは同じくシェルター内に併設されているうさぎ専用のペットホテル。保護うさぎが暮らしているケージと同じく、協会特注ケージを使用しています。
《上段》
中ケージ:1泊350台湾元(日本円で約1,300円)
《下段》
大ケージ:1泊450台湾元(日本円で約1,600円)
*牧草・フード代込(持ち込みもOK)
── ショップもホテルも、うさぎ専門という点が飼い主さんにとって嬉しいですね。
── ひ、広い!!しかもリーズナブル……!
サークルのお部屋は、同じ飼い主さんであれば2匹同時にご使用いただけるので、いつも一緒に過ごしているというような子にもおすすめですね!
ちなみに保護うさぎのお世話はボランティアが中心ですが、このペットホテルは、お金もいただいているので職員が責任をもってお世話しています。
お預かり時に記入いただいた基本情報や給餌指示に基づいて、毎日記録もつけています。
ボトル型の給水器か、お皿かも受付時にお好みで選べるんですよ。
あとは……そうそう、ケージ・サークルともに全室ペットカメラがついているので、飼い主さんには24時間スマートフォンでうさぎの様子を確認していただけることもこだわりです。
── うさぎ専門ならではの、細部までの気遣いがすごいです…!
ありがとうございます!
宿泊はチケット制にしていて、 愛兔協会のボランティアスタッフにはお給料はお出しできませんが、活動期間に応じてこの宿泊チケットをお渡ししたり、ショップでの割引サービスを行なって、お礼の気持ちを伝えています。
── チケットのデザインも、海外の紙幣のようでとても可愛いです。こだわりの詰まったペットホテルのご紹介、ありがとうございました。
今度は支出面のお話も伺っていいでしょうか?
保護に関する支出入は、毎年、月ごとの内訳を政府へ提出する必要があるのでしっかり記録していますよ。
実際に一ヶ月の支出表を見ていただいた方が早いですね。
── 収支報告書を見せていただいたので、例として「2019年2月」の支出明細表(※保護活動のみ)を日本語でご紹介いたします。
シェルター賃料 (2箇所) | 135,000台湾元 (日本円で約480,000円) |
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水道光熱費 | 12,523台湾元 (約44,500円) |
修繕費 | 55,028台湾元 (約195,000円) |
旅費交通費(ガソリン、駐車場等) | 8,569台湾元 (約30,500円) |
保護うさぎの生活用品費(ペットシーツ、掃除用具、給水ボトル、トイレ等の長期的な世話に必要な物) | 35,414台湾元 (約126,000円) |
保護うさぎの食費(牧草、ペットフード、病気の子へのサプリメントや特別食) | 19,292台湾元 (約68,500円) |
保護うさぎの医療・看護費(去勢・避妊手術、入院、健康診断、レントゲン等) | 123,862台湾元 (約441,000円) |
保護うさぎの機具・設備費(ケージ、捕獲器、ヒーター等、施設内で使用する機具・設備) | 16,990台湾元 (約60,500円) |
イベント用雑費 | 320台湾元 (約1,100円) |
保険料(イベント時のボランティア保険等) | 当月は支払いなし |
事務用品費(文具、用紙、インク、その他消耗品) | 6,962台湾元 (約24,800円) |
雑費 | 621台湾元 (約2,200円) |
支払手数料(振込手数料、代引手数料等) | 10,090台湾元 (約35,900円) |
通信費(切手、電話、インターネット) | 13,033台湾元 (約4,600円) |
運賃 | 5,301台湾元 (約18,800円) |
2019年2月 支出合計※保護活動のみ | 443,005台湾元 (約1,576,000円) |
うさぎの保護頭数、病気の有無、イベントの開催・出展などで左右されますが、このくらいの費用は毎月かかってきますね。
あまり一度にお金がかかりすぎないように、高額な設備を導入する時などは分割で支払ったりしています。
今は正直、昨年(2018年)高雄市にもう一つの拠点を開設したばかりなので、人手も資源も余裕のない状態ですが……でも、ここが踏ん張りどきだと思って、頑張っていきますよ!
5.保護以外の活動について
WOOLYインタビュー
── 台北市の拠点は3フロアあって、とても広いですね。
ええ。最初は保護うさぎのスペースだけでいっぱいいっぱいでしたが、2014年にこちらに移転した時にショップとペットホテルを併設して、2016年のフロア拡張時に一般の方向けのスペースを作りました。
こちらは図書スペースで、国内外のうさぎに関する書籍を自由に閲覧いただくことができるようになっています。
── 日本の本も置かれているんですね。
台湾には、日本語が分かる人も結構いるんですよ。それにウーリーさんをはじめとして、日本製のうさぎ用品はとても人気です。
図書スペースの奥は「愛兔教室」と呼んでいる、講演会・講習会用お部屋です。
ここではうさぎを専門に扱っている獣医師の先生を招いて勉強会を開いたり、ボランティアスタッフの研修を行ったりしています。
── 施設の外でも、うさぎに関する教育活動を行う時はあるのでしょうか?
小学校や中学校に出向いて「うさ姉さんの教室」を開催しています。
うさぎはとても繊細な友達なので触れ合い方に気をつけ欲しいこと、どんな食べ物を食べているのか、お世話の大変さ等、子供たちに楽しくわかりやすく伝えるためのイベントです。
不当飼育の多くは、家畜だった時代の古く間違った飼育方法を信じていたり、正しい知識がないまま飼うことにより起こっていますので、 若い世代にうさぎのことを深く知ってもらえれば、これから台湾の状況も変わっていくと信じています。
── 日本でも、病気や飼い方については不明瞭なまま、「犬や猫に比べて飼いやすい」イメージだけが先行してしまいがちです。
素晴らしい取り組みですね。
編集は私一人で行っているので、保護活動が忙しい時などは少し遅れてしまいますが、基本的には年4回発行しています。
WOOLYさんにもご協力いただいているように、制作に関する費用はほとんど企業広告で賄っているので、協会本部や動物病院で50台湾元(日本円で約180円)でお求めいただけます。
台湾の最新のうさぎ・モルモット情報を載せているので、多くの方に手に取っていただきたいですね。
愛兔協会の設立前は、うさぎの飼い主さんを集め、正しい飼い方について相談を受けたり、意見交換を行う場をよく設けていました。 なので自然と、保護活動と並行してこうした啓発活動にも力を入れる流れとなったんですよ。
おわりに
── TINAさん、今日はお忙しいなか施設内をご案内いただいたり、インタビューにご対応くださり、ありがとうございました。
愛兔協会の幅広い活動と、その理念をよく知ることができました。
どういたしまして!
そうそう、愛兔協会を設立した2月2日は、「愛兔祭りの日」として大きなイベントを行うんです。
中国語で「2月2日」と「兎」の読み方(発音)が一緒なことに因んでいるんですよ。
そうした楽しい催しもあるので、ぜひまた遊びにきてくださいね。