台湾流浪兔保護協会(りゅうろうと ほごきょうかい)

台湾流浪兔保護協会

1匹ごとに広いスペースを確保

限られた保護頭数で負担にならないボランティアのあり方を模索

「流浪兔保護協会」のシェルターでは、一般的な飼育ケージを使わずに、保護うさぎ1匹に対して
広々としたスペース(120×150cm以上)を設けていることが特徴です。

1匹あたりに確保するスペースが大きい分、シェルター内での保護頭数は限られてしまいますが、
数多くの「預かりボランティア」がその数をカバーしており、
在籍する保護うさぎの数は施設内外あわせて合計190匹にものぼります。

また全員がボランティアからスタートしているからこそ、
「負担にならないボランティア」のあり方を模索し、支援体制にも力を入れています。

団体基本データ(2019年取材時点)

団体名称台湾流浪兔保護協会
設立年2009年
人員構成職員3名 ボランティア約110名
うさぎの保護頭数190匹(シェルター内90匹/ 預かりボランティア100匹)
年間収支(2018年)収入 8,480,755台湾元(日本円で約2,950万円)
支出 7,276,102台湾元(日本円で約2,900万円)
所在地台灣新北市中和區中山路2段327巷11弄11號、13號4樓
webサイトhttps://www.rabbitsos.org
沿 革
  • 2015年新北市にうさぎ専用保護施設(シェルター)を設立する。*協会の活動が世間に広く知られ、多くの寄付が集まったからこそ実現した。自宅預かりに加えて、より多くのうさぎを保護することが可能となる。
  • 2009年「台湾流浪兔保護協会」として団体登録を行う。*発足当時は全員がボランティア。救助したうさぎは各個人の自宅で預かっていた。
  • 2005年うさぎ同士の交流会を開催し始める。*飼育についての考え方の意見交換から、話題は自然と遺棄うさぎへの問題提起に発展し、保護団体設立の機運が高まっていく。

WOOLYによるインタビュー

インタビューを受けてくださったのは…

台湾流浪兔保護協会 会長 Q媽(キュウマ)さん

台湾流浪兔保護協会 会長Q媽(キュウマ)さん

「うさぎ好き同士の集まり」を「流浪兔保護協会」としてまとめ上げ、発展させてきた協会の立役者。並々ならないうさぎ愛で、どれだけうさぎの保護頭数が増えようとも、設立当初からの日課である”すのこ”(現在600枚以上!)の手洗いを毎日一人で行っている。

1.保護の流れや、うさぎのこと

うさぎの保護頭数*2019年取材時点

190匹 (シェルター内90匹:預かりボランティア 100匹)

年齢の割合幼齢 20%/成体 40%/高齢 40%
主な保護先不適正飼育を行なっている個人
保護頭数推移2016年 108匹
2017年 99匹
2018年 120匹
保護施設(シェルター)100坪(最大90匹) / 冷暖房完備
保護環境のこだわり家族のように扱っており、自由に走り回ることのできる広いスペース(120×150cm以上)とおもちゃを1匹ずつに与えています。 飲み水には一度沸騰させた水を使っています。
シェルターで暮らす保護うさぎ

より快適に、健康的に過ごしてもらうため、流浪兔保護協会では1匹1匹にゆとりのある生活スペースを提供しています。ボランティアスタッフが毎日掃除を行い、新鮮な水と牧草がたっぷり用意されます。

シェルターで暮らす保護うさぎ

WOOLYインタビュー

── たくさんの数のうさぎを保護されていますが、活動当初と比べて数は増えていますか?

不適正飼育や遺棄されるうさぎの数は増える一方ですね…。
近年では、毎年100匹前後のうさぎを新しく保護しています。
飼い方をよく知らないままうさぎを迎えて、去勢避妊手術をさせないで手に負えないほど増やしてしまったり、 病気にさせてしまう人が後を絶ちません。
病気になると、治療するのにはうさぎを買ったお金よりもたくさんのお金がかかるので、捨ててしまう人がいるんです。
うさぎは、安いと100台湾元(日本円で約350円)ほどで手に入ってしまいますからね。

実は、シェルター保護頭数の90匹という数は、スペース上の限界数でもあるんです。本当はもっとたくさん助けを求めているうさぎがいるのに、スペースの都合で二の足を踏んでいる状態です…。今のシェルターの2倍くらい大きな物件を見つけることが、目下の課題です。

── 100台湾元は……確かに、可愛いからと安易に飼ってしまう人が出てしまいそうです。
保護の流れを教えていただけますか?

まず、大抵は不適正飼育を見つけた発見者からの通報で始まります。
発見者に提出してもらった通報救援申込書をもとに、流浪兔協会の職員が現場へと駆けつけます。
保護スペースが圧迫している今、病気などで緊急性のあるうさぎはすぐに引き取りますが、それ以外はまず飼い主に飼育方法の教育を行なって経過観察をすることにしています。

保護したうさぎは、最初に動物病院で健康診断を受けます。ほとんどのうさぎが、皮膚病や寄生虫、外傷、不正咬合など疾患を抱えています。
その後体力が回復次第、避妊去勢手術を行い、預かりボランティアもしくはシェルターで里親が見つかるまで保護します。

不適正飼育の現場
不適正飼育の現場

見るからに粗悪な環境に置かれているうさぎたち。通報を受けた流浪兔保護協会のスタッフに保護されました。飼い主が古い飼育方法を信じていることで引き起こされる悲劇もあります。中には「うさぎはにんじんが好きだから」という理由でにんじんのみを与え続けられ、疾患にかかったうさぎが保護されたケースも…。

(左)後ろ足の骨折により、骨が露出している。(右)真菌が悪化し、耳が欠損している。
保護後間もないうさぎたち

不当飼育の現場から保護されたうさぎは、そのほとんどが疾患を抱えています。
(左)後ろ足の骨折により、骨が露出している。
(右)真菌が悪化し、耳が欠損している。

── どのくらいのうさぎに、里親が見つかるのでしょうか。

早くて保護から7日で里親が決まる子もいれば、6年間もシェルターで過ごしている子もいます。里親が見つかる割合は、年間で約半数といったところです。

どうしても人気の傾向はあり、小さくて柄のある、人懐っこいうさぎほど早く選ばれます。 反対に、白くて大きい赤目のうさぎは不人気ですね…。そういった子は、偏食がなく、トイレもきちんとできるのですが…。

── 仔うさぎも人気が高そうですが、譲渡の対象ですか?

いいえ、基本的に6ヶ月未満のうさぎは対象外としています。
体調が不安定ということもありますが、一番の理由は、当協会がもっとも大切だと考えている去勢・避妊手術ができないからです。

それでもどうしてもという希望があれば、避妊・去勢手術を必ず行うという約束のもと、3,000台湾元(日本円で約1万円)の保証金を団体に支払ってもらい、里親が去勢・避妊手術を行った後に返す措置をとります。

── 去勢・避妊を最重要と考えていらっしゃるのですね。保護当初に健康診断をされるということでしたが、保護中も定期的に健診を行うのでしょうか。

現在は、保護後5年が経った高齢のうさぎを対象に精密な健康診断を行なっています。
これはレントゲンを撮ったり、血液検査をする大掛かりなものです。本当はもっと定期検診の頻度を上げたいのですが、なかなか資金が追いつきません。

それ以外にももちろん、保護中に異常が見られた場合は速やかにかかりつけの動物病院で診てもらいますよ。 保護当初は疾患を抱えた子が多いですが、死亡率は低く、ほとんどのうさぎが回復しています。

── 協会かかりつけの病院があると安心できますね。
そういえば、こちらの保護うさぎがいるシェルターは、一般に公開されているのでしょうか?

いえ、基本的には公開しておらず、月に1回程度自由に見ていただける日を設けています。ただし、公開日に里親希望があってもその日にうさぎを連れて帰ることはできません。
かならず協会のホームページから所定の申し込み手続きを踏んでもらうことになっています。

*譲渡の手順は後のインタビューで詳しく伺っています

流浪兔保護協会さんでは、教育機関での啓蒙活動も行なっていると伺いました。

幼いうちからうさぎの正しい飼い方を知ってもらうことが、将来遺棄されるうさぎの減少に繋がると思い、幼稚園や小学校、大学などの教育機関に赴いて、そうした活動も行なっています。
"可愛い"と思われるだけのふれあいイベントになってしまってはいけません。
「うさぎはどんな動物で、どんな飼い方・触れ合い方をすべきなのか」をレクチャーします。

子供たちへのレクチャー
子供たちへのレクチャー

不適正飼育を招いている大きな要因の一つが、飼育への知識不足です。
子供のうちからうさぎが繊細な動物であることや正しい飼い方を学んでもらうため、積極的に活動を行なっています。

── 会長さんのご経験のなかで、心に残っている保護活動はありますか?

陽明山で仔うさぎを含む6匹のうさぎを保護したことです。
その子達も瀕死の状態でしたが、近くにはすでに数匹のうさぎが死亡していました。
山の環境はうさぎにとって過酷で危険です。
それなのに人間の都合のせいで、彼らは不安と恐怖の中で過ごすことになったのです。

必死の看病を行いましたが、残念ながら仔うさぎは救うことができませんでした。
家族同然に扱われるべきうさぎがどうしてこんな目に遭わなくてはいけないのか…。
とても辛く悲しい経験でした。

保護うさぎにとってこのシェルターは、信頼のおける里親さんが見つかるまでの仮住まいですが、傷ついた心と体を癒してもらえる空間になればと思って日々活動しています。

2.里親への譲渡手続きに関して

保護うさぎのデータベース
保護うさぎのデータベース

流浪兔保護協会のwebサイトでは在籍する保護うさぎの情報が閲覧できます。性別や体重などの基本データのほか、保護されてから現在までの様子、通院歴などが写真や動画とともに詳しく掲載されており、保護うさぎそれぞれの性格や個性まで知ることができます。

WOOLYインタビュー

── 保護されたうさぎが、里親さんにお迎えされるまでの流れを教えてください。

里親の希望は、基本的にホームページ上で受け付けています。
所定の申込書を提出してもらうのですが、基本知識をテスト形式で答えてもらう欄があったり、「家の中の様子」も詳しく教えてもらうことが特徴ですね。 飼育環境は非常に大切なので、うさぎが過ごすことになる部屋の写真も送ってもらいます。

── 「主食として正しいものはどれか?」「ペレットはどのくらい与えるべきか?」「適切な運動時間は?」「シャンプーは必要か?」などなど……飼育知識のテストは10問以上ありますね!
1つでも間違いがあると申請が通らないということでしょうか?

いいえ、必ずしもそうではありません。
申込書の受理後に面接を行うので、知識が不足している人、勘違いのある人はそこでしっかりと理解してもらえれば大丈夫です。
もちろん、飼育環境やテストの間違いの多さによっては申し込みの時点でお断りする場合もありますが。

── 面接ではどのようなお話をされますか?

とにかく飼育する上での「デメリット」を重点的に伝えます。
長期的に毎月たくさんの費用がかかることや、病気のこと、糞尿の処理、抜け毛のことなど。
我々は、1人でも多くの里親を見つけるのではなく、1匹でも多くのうさぎを幸せにしたいという考えです。
「デメリット」を理解していただけないと、結局不幸なうさぎが増えてしまうだけですので、だいたい2時間くらいかけて、じっくりと話しますね。

── 里親の適性を見極める大切な面接ですね。

面接で信頼できる人であることがわかった場合はうさぎの譲渡が決定しますが、譲渡後しばらく経ったら団体のボランティアが飼育の様子を見に行きます。
申し込み時の飼育環境や、面接での話と相違があった場合にうさぎを連れ戻すためです。

── 譲渡して終わり、ではないということですね。里親さんからの報告もあるのでしょうか?

はい。Facebook等で近況の報告をしてもらうことも、里親にお願いしています。
楽しんで報告してくださる方が多く、"里帰り”として毎週うさぎを見せに協会へ遊びに来る方もいますよ。

譲渡後の近況報告より
譲渡後の近況報告より

里親さんから定期的に届く近況報告の写真には、幸せに過ごす元保護うさぎの姿が写っています。こうした様子を見るときに、協会スタッフは一番の喜びを感じるといいます。

3.職員やボランティアスタッフのこと

人員構成*2019年取材時点

職員3名 ボランティア約110名

職員 3名物販などお金に関する諸業務を担当。
ボランティア不在時のうさぎの世話も行う。
定期ボランティア 約20名ケージ内のお掃除など、日頃の保護うさぎのお世話をシフト制で担当する。
不定期ボランティア 約30名展示会やイベントの手伝いなど、単発で協力を行う。
預かりボランティア 約60名「代理ママ」と呼ばれる。
自宅でうさぎを預かり、里親が見つかるまでお世話をする。
1世帯で2,3匹を預かる場合が多く、預かりボランティアが保護している頭数は2019年時点で100匹程度。
ボランティアによるお世話
ボランティアによるお世話

シェルターにいるうさぎの日常的なグルーミングや掃除はボランティアスタッフが担当しています。その日のお世話が終われば、それぞれお気に入りのうさぎと遊んで過ごすのだとか。

WOOLYインタビュー

── 総勢100名を超える、たくさんのボランティアの方が携わっていらっしゃるんですね!

発足当初はたった5人の小さなボランティア団体でしたが、おかげさまで多くの方に活動を理解していただき、支えられています。

── ボランティアさんの在籍数も、10年以上積み重ねた活動の成果なのですね。
ボランティアスタッフは、どのように募っているんですか?

基本的には団体ホームページから申し込んでもらっています。評判を聞いて、直接協会に足を運んで申し込みをされる方もいますよ。

あとは、台湾では学校の卒業要件に「ボランティアを行うこと」が定められているので、大学生や高校生の短期ボランティアが来ることも多いです。
学校から大人数(20人程度)の受け入れ依頼がくることもありますね。

── 国の登録団体として、信頼感が高いからこそだと感じます。 ボランティアになるために、条件はありますか? 

一番大切なのは、"うさぎを愛する人”であることです。かならず面接をして、人柄やうさぎに対する考え方を確認します。
また、ボランティアの中でも、保護うさぎを自宅で預かってお世話する「預かりボランティア」に限っては条件を厳しく設定しています。
里親に求める条件と同様に、面接の後は基本的なうさぎの飼育知識もテストさせていただきます。
飼育環境に求めるのは、最低でも「冷暖房完備で、うさぎが遊べる広い空間があること。ケージに閉じ込めっぱなしにしないこと。家族と同じように扱うこと」。
預かり中は随時Facebookで様子を発信してもらう義務もあります。

預かりボランティアが増えればもちろん保護できるうさぎの頭数も増えるのですが、かといって誰でもいいというわけではありません。
里親が見つかるまで、数年単位で預かってもらう可能性もありますからね。

── 預かりボランティア中の飼育費は自己負担なのでしょうか?

団体発足当初は資金も乏しく、ボランティア自身の負担でした。
ですが今では、完全に協会負担としています。
ケージやトイレ、給水機といった備品の提供のほか、食事に関しては、毎月2kg未満のうさぎで500台湾元(日本円で約1,700円)、2kg以上のうさぎで700台湾元(日本円で約2,500円)分まで、協会の運営するショップから自由に持ち帰れる仕組みです。

あとは、どうしても家を空けなくてはいけない時などに、協会のシェルターで一時預かりも行なっています。

── 負担が大きくなりすぎないように、サポート制度もあることが多くのボランティアさんが集まり、定着している理由なんですね。

「うさぎへの愛」を一番のやりがいに来ていただいているので、なるべく楽しく活動をしてもらいたいですね。 不人気なケージのすのこ洗いなんかは、私が率先して担当しています。
毎日600枚くらいの数を洗うのはなかなか骨が折れますが……。(笑)

あとは、Facebookやラインなどでボランティア同士が日常的にお互いの状況を把握したり、アイディア出しを行なう交流の機会があることも、楽しんでいただけているようです。
そうそう、実はちょうど今日、ボランティアで出会った二人が結婚式を挙げたんですよ!

── なんと! おめでとうございます!!
仲の良さも継続の秘訣
仲の良さも継続の秘訣

運営の核となるボランティアは皆、和気藹々と楽しみながら活動しています。また、取材日は偶然にもボランティア同士の結婚式直後で、シェルター内はお祝いムードに包まれていました。

会長が1日に洗い上げる“すのこ”
会長が1日に洗い上げる"すのこ"

うさぎ90匹分のすさまじい量を、会長は一つ一つ丁寧に手洗いしています。 すべてはうさぎの清潔で快適な環境のために……。
洗い方にこだわりがあるので、綺麗好きな会長はなかなか他のスタッフに任せられないのだそうです。

4.運営に関する資金のこと

年間支出入*2018年

収入 8,480,755台湾元(日本円で約2,950万円)
支出 7,276,102台湾元(日本円で約2,900万円)

WOOLYインタビュー

── 保護しているうさぎの数が多い(190匹)だけあって、金額も大きいですね。収入の大部分は募金でしょうか?

そうですね。
75%ほどが個人の方からの募金で、残りは運営しているショップの売上です。
WOOLYさんが大型乾燥機を寄付してくださったように、企業からはお金よりも物資で援助が届く場合が多いですね。

協会内のうさぎ用品ショップ
協会内のうさぎ用品ショップ

募金に比べて割合は低いものの、協会が運営するショップの売り上げも貴重な収入源。(ウーリー製品の取り扱いも!)

── 乾燥機、お役に立っているようで何よりです! 個人の方からの募金で年間2,000万円以上集まるのはすごいですね。

ありがたいことに、毎月200人近くの方から募金をいただいています。
募金は協会全体を宛先にもできますし、うさぎを指定して募金や物資の提供ができるようにもなっています。 「引き取れないけれど、幸せに暮らして欲しい」と、それぞれのうさぎに愛着を持って募金してくださる方がたくさんいらっしゃいますよ。
特にお正月はうさぎへのプレゼントが増えますね。日本の「お年玉」と同じ感覚です。

特定の保護うさぎへの支援
特定の保護うさぎへの支援

保護うさぎを指定して支援金や物品を送ることができます。物品の場合はサークルに備え付けられ、お世話の時に使用されます。
写真の子にはサプリメントとお守りが贈られたようです。

── 1匹のうさぎを保護するときに、どのくらいの費用がかかりますか?

保護時に必ずかかる費用は、健康診断費の300台湾元(日本円で約1050円)、去勢避妊手術で4,500~6,000台湾元(日本円で約16,000~20,000円程度)です。
食費は毎月500台湾元(日本円で約1,800円)程度で、牧草を食べないなど、偏食のある子にはもっとかかります。
そのほか、備品や掃除の時の消耗品などにもお金がかかりますね。
シェルターは広ければ広いほど多くのうさぎを保護できますが、その分賃料も上がり、ガスや光熱費なども多く必要になります。

── 流浪兔協会さんのwebサイトでは、月別で項目ごとの支出も公開されていますね。
ここで一例として、「2019年2月」の支出明細表(※物販仕入れ費を除く)を日本語でご紹介いたします。
・ シェルター賃料105,560台湾元
(約366,000円)
・ 水道光熱費3,683台湾元
(約12,700円)
・ 修繕・メンテナンス費(エアコン、扇風機、給水器、洗濯機、乾燥機、酸素吸入機、監視カメラ等のメンテナンス、修理費など)当月は支払いなし
・ 車両関係(協会車両の税金、保険、メンテナンス費用など当月は支払いなし
・ 交通費(救援時及びイベント開催時等のガソリン代、切符代、車代金等の費用)当月は支払いなし
・ 保護うさぎの生活用品(すのこ、敷きタオル、シーツ、布パット、トイレ、ご飯入れ、給水機、鉄あみ、汚れ防止紙、移動用ケージ、爪切り、ブラシ、サークル、ヒーター、保温ランプ、掃除用品、消毒用品等)40,958台湾元
(約142,000円)
・ 保護うさぎの食費(牧草、ペレット、サプリメントなど)271,403台湾元
(約942,000円)
・ 保護うさぎの医療費(保護後の医療費用/去勢避妊手術、火葬費用含む)7,600台湾元
(約26,000円)
・ 保護うさぎの医療用品費(ガーゼ、包帯、綿棒、通気性テープ、バタフライニードル介護用パッド、生理食塩水、皮下注射液、注射用シリンジ、エリザベスカラー、マスク、看護スタッフ用手袋 等)当月は支払いなし
・ 人件費(協会職員の給与)61,829台湾元
(約214,000円)
・ 救援活動の設備機器費(救援活動時に必要な特殊設備機器等の費用)当月は支払いなし
・ webサイト保守管理費(協会車両の税金、保険、メンテナンス費用など)当月は支払いなし
・ 宣伝広告/募金活動費(募金ボックスの製作、DM、ポスター等の印刷、イベント開催時に使用するガソリン代、切符代、車代金等の費用、文房具、コピー代、運賃、通信費、食事代等の費用)23,640台湾元
(約82,000円)
2019年2月 支出合計※物販仕入れ費を除く514,673台湾元
(約1,785,000円)

※もちろん、保護頭数や病気の有無、イベントへの出展などで毎月の支出は左右されます

── ボランティア団体にとって資金集めは難題の一つだと思いますが、募金は最初から順調だったのでしょうか?

いいえ、もちろん立ち上げ当初は知名度がないので全く集まりませんでした。なので、何より多くの方に活動を知ってもらうことから始めました。例えば動物病院の隣を借りてのチャリティーバザーです。
動物病院に来院される飼い主さんは動物への関心が高いので、活動について理解してくださる方が多く、名前を広めていただくことと資金調達の両立ができて効果的だったと思います。
あとは、今でも行なっていますが、動物関連の展示会に参加したり、積極的にFacebookやホームページで活動報告をしています。

展示会での様子
展示会での様子

イベントは協会の活動や、保護されているうさぎのことを広く知ってもらう絶好の機会です。

募金額の支出入
募金額の支出入

webサイトのトップページでは、年初から現在までに集まった募金金額や、支出の金額がわかりやすく表示されています。すぐ下に「募金する」のボタンも。

── ホームページは保護うさぎの紹介だけでなく、収支の状況が一目でわかるようになっていたり、オンラインショップも併設されているのですね。

長期的な活動を行う上で資金は非常に大切ですからね。
「募金したい」「募金してよかった」と思ってもらえるような情報発信にも力を入れています。
おかげさまで最近は安定した募金が集まっていますが、資金に余裕があれば、うさぎのためにやりたいことはまだまだあります。
支出の中でも医療費は大きな割合を占めているので、協会で動物病院を建設して医療費を削減できないかとも考えているところです。

おわりに

── 会長さん、このたびはインタビューのお時間をいただき、ありがとうございました。
うさぎに対しての考え方に芯が通っているからこそ、これほど多くの協力者が集まっているのだと感じました。

活動を知ってもらうことは、団体の維持にとても大切なことです。
日本の皆さんにも台湾でこうした活動があることを知ってもらえると嬉しいですね。

また、流浪兔保護協会では海外からの募金も受け付けています。
こちらのページに寄付先が載っていますので、よろしければご覧ください!

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