愛兔協会入り口写真
愛兔兔協会入り口写真

社団法人 しゃだんほうじん  台湾 たいわん  愛兔協会あいときょうかい

住宅の1室からたった3人で始まった地道な活動が実を結び、
今では台北市と高雄市に大きな2つのシェルターを持つ、
台湾有数の保護協会として知られています。

不幸なうさぎを増やさないため、保護後に去勢・避妊手術を行うことはもちろん、
譲渡条件として「マイクロチップの埋込」を定めています。

保護活動以外にも、うさぎの用品ショップやペットホテルの運営、
獣医師を招聘しての勉強会、子供向けレクチャーの主催等、
うさぎに関する活動を広く手掛けています。

団体基本データ(2019年取材時点)

■ 団体名称 社団法人台湾愛兔協会
■ 設立年 2009年
■ 人員構成 会長1名 執行役1名 職員3名
ボランティア約90〜120名(年間)
■ うさぎの保護頭数 120〜150匹(年間)
■ 年間収支 
     *2018年
寄付合計 3,067,723台湾元
(日本円で約1,100万円)

支出        4,628,914台湾元
(日本円で約1,650万円)
■ 所在地 【台北施設】
  台北市內湖區內湖路一段73號3樓

【高雄施設】
  高雄市前鎮區中華五路949號
■ webサイト http://www.loverabbit.org/candy/

沿 革

2009年
2月2日、「台北市愛兔協会」として団体を登録。
*発足時のスタッフは3名のみで、自宅での保護から始まった。
2009年
9月、台北市北投区に「愛兔之家」を開設。
*最初の保護施設。ただ、施設と言っても、個人の住宅環境に似たごく小規模のものだった。
2014年
台北市内湖区にある現在の拠点に移転(1フロア)。
*スペースが広くなり、うさぎのホテル、飼育用品販売ブースを併設するように。
2016年
フロアを3フロアに拡大。
名称を「台北市愛兔協会」から「台湾愛兎協会」に変更。
2018年
台湾南部の高雄市に保護施設を新設。

1,保護うさぎや、シェルターのこと

■ うさぎの保護頭数   *2019年取材時点

年間で120〜150匹程度

・ 年齢の割合 常に変動します。最も多いのは生後5,6ヶ月のうさぎです。
・ 主な保護先 個人や牧場など。
一般の方からの通報や、保健所からの情報提供で駆けつけます。
・ 保護頭数推移 うさぎ年のときは200匹を超えましたが、それ以外は毎年120〜150匹の間で推移しています。
・ 保護施設(シェルター) 現在は2つの拠点があります。
台北市(3フロア):最大120匹まで
高雄市(3フロア):最大80匹まで
*冷暖房完備
・ 保護環境のこだわり 出産を控えている子や、重傷を負っている子には専用のスペースを作って、あらゆるうさぎを保護できる環境づくりに力を入れています。
|  WOOLYインタビュー
── (2拠点のうち、今回は台北市の保護施設にお邪魔しました。)
        とても明るく清潔感のある、素敵な空間ですね。
TINAさん
ありがとうございます!
初めて公立の保健所を訪れたとき、悲しい気持ちになってしまうほど暗く、冷たい雰囲気だったことに大きなショックを受けました。
そこで自分たちが保護施設を作るときは、そんな負のイメージを一新させる「明るく、楽しい」場所にしようと決意したのです。

「愛兔協会」は、里親希望の方に限らず、うさぎのことを知りたい方、情報交換したい方、うさぎを愛するすべての方に気軽にお越しいただきたいと思っています。
愛兔協会エントランス

  入ってすぐのエントランスには、ビタミンカラーの家具や大きなぬいぐるみ、イラスト、うさぎの生態や飼い方をわかりやすく紹介したパネルなど、うさぎ愛に溢れた明るい空間が広がっています。

── エントランスの奥がうさぎの保護スペースですね。いくつかのエリアに分かれているようですが。
TINAさん
ここ台北市のシェルターでは、最大120匹のうさぎを保護することができ、目的やうさぎの状態によって大きく4つの飼育環境に分けています。

順を追ってご紹介しますね。
まずはこちら。健康状態が良好で、里親の希望を募っている子に過ごしてもらっているエリアです。ちょうど今はお掃除の時間ですね。
愛兔協会施設紹介1

  新しい家族を待つうさぎたち。協会こだわりの特注ケージで掃除も楽々です。

TINAさん
ケージは特注で、なるべく多くの子に、快適に過ごしてもらうために愛兔協会のスタッフで考案したんですよ。
給水器やステップの高さはその子ごとに調整できたり、必要に応じて「ペットカメラ」を設置できるよう、コンセントもそれぞれのケージに備え付けてあります。
── 白いケージで使い込まれているはずなのに、汚れを全く感じさせません。日々のお手入れが行き届いていることが分かります!
         お掃除もすごくしやすそうですね。
TINAさん
はい!
ご覧の通り、出入り口はフルオープンにすることができるので隅々まで掃除ができますし、掃除用品を置く台もケージの下から引き出せるように工夫しました。
ケージ掃除の様子
このケージで過ごしてもらう以外には、広い遊び場とおもちゃを用意しています。
なるべくストレス無く過ごしてもらいたいですからね。
うさぎの遊び場

  うさぎが走ったり跳んだりして遊ぶことのできる、十分なスペースの遊び場も用意されています。
里親希望の方が一緒に遊んで、相性を確認できる場にもなっています。

── あれ? 向こうの少し小さなケージにいるのは…。
TINAさん
保護モルモット
そうです、モルモットです。
以前うさぎの不当飼育の現場に駆けつけたとき、一緒にいたモルモットを保護したのがきっかけで、同じ草食動物であるモルモットも保護の対象にすることにしたんです。
まだまだ数は少ないですが、モルモットにも専用のケージを特注で作っていて、受入環境を整えていますよ!モルモットもとっても可愛いです。
モルモット専用保護ケージ

  うさぎ用よりひとまわり小さい、モルモット専用ケージ。中には食器やトイレ、木製のハウスが用意されています。
保護を決めたからには、主催する獣医師講習会のテーマにも取り上げるなどして、スタッフはモルモットの飼育知識をしっかり身につけているとのこと。

TINAさん
さて、お次はこちらのエリアです。
こちらも先ほどと同じく、中にいるのは健康で新しい家族を待つうさぎたちです。
違いは、ケージとケージ内のアクセサリですね。
うさぎ用保護ケージその2

  ここでは、協会の特注ケージが使われていません。日本でもよく見るような、金網とプラスチックによるケージです。

── もしかして、特注のケージが足りなかったんでしょうか…?
TINAさん
いえいえ!(笑)
ここではあえて市販のケージやアクセサリを使っているんです。
愛兔協会内でのお世話では圧倒的に特注ケージが便利なのですが、ご家庭で使われることはありませんからね。
お迎え後のお世話をレクチャーしたり、イメージしてもらうのに、市販品を使って一般的な飼育環境を再現しているんですよ。
── なるほど、確かに実際の飼育環境が想像しやすいですね。
TINAさん
それでは、次は奥の場所をご案内します。
このスペースには、保護されたばかりや、軽度の病気を持っているうさぎ、妊娠・もしくは産後間もない母子のうさぎ等、お世話に注意が必要な子たちがいます。
繊細な子が多いので、出入りの多いエントランスから離れた奥の場所にスペースを設けています。

ここにいる子は状態が安定するまで、里親募集には出しません。
例えば、こちらは妊娠した状態で保護され、先日出産したうさぎの親子です。
保護うさぎの親子

  あらゆる状況に対応するため、様々な大きさのケージが用意されています。
こちらの親子は、通常のものより2倍ほど大きいケージで暮らしていました。

── 親子でのびのび過ごせるよう、ケージも広めですね。
        上部に何かの機械がついているようですが?
TINAさん
ペットカメラ
これはペットカメラです。
職員はもちろん、この親子を対象に寄付を行った方も、スマートフォンで24時間ケージ内部の様子を見ることができるんです。
いろいろな事情で里親になれずとも、寄付によって、同じようにうさぎを見守っていただくことができるんですよ。

この子はここで出産したので、出産時の映像も残っています。
ペットカメラが記録した出産の様子

  見守りが必要と判断されたケージには職員と、寄付者も映像を見ることのできるペットカメラが設置されます。
映像は24時間いつでもスマートフォンから見ることができ、この親子の出産は多くの人がカメラを通して見守ったそうです。

── 動画の映像と比べると子うさぎはずいぶん大きくなっていて、順調に成長しているんですね!
        うさぎにストレスをかけずに、様子を見守ることができて良いですね。
TINAさん
理想的にはすべてのケージにペットカメラをつけたいですね。今はまだ、健康な子のエリアでは、カメラの寄付があった子以外には資金的な問題で導入できていないので…。

さて、最後にご案内するのは重症の子たちがいるエリアで、一部は酸素室になっています。

健康なうさぎたちのエリアはボランティアスタッフにお世話をお任せしていますが、こちらと先ほどのエリアでは専任の職員のみがお世話を行っています。
病気の子用の保護ケージ

  重症の子が過ごすこちらのエリアでは、すべてのケージが一般ケージよりも広いサイズで用意されています。
間違って専用の職員以外がお世話をすることのないよう、注意書きが貼られています。

TINAさん
保護されるうさぎは、健康な子たちばかりではありません。
およそ15%のうさぎが、回復が難しいほどの重い疾患を抱えた状態で保護されます。

完治するまで里子に出すことはしません。
一部の子は、そのまま協会内で最期を看取ることもあります…。それでもなるべく幸せに、痛みがなく過ごせるように、専任の職員が付きっきりでお世話や通院、投薬を行っています。
── 不当飼育によって怪我や病気になってしまったうさぎを見るのは辛いですね…。
TINAさん
はい…。
愛兔協会を設立して初めて保護した子も、後ろ足がひどく爛れた子でした。今でもよく覚えています。

他にも、虐待によって骨折し、ぼろぼろになった体で道端に捨てられた子、元々は軽い皮膚病だったのに、治療を受けさせなかったために悪化して膿が全身に広がった子、正しい飼い方を知らない飼い主のもとで、栄養失調になって痩せ細ってしまった子……たくさんのうさぎを見て来ました。
でも、回復して元気な身体になれば、大切に可愛がってくれる、新しい家族と出会えるチャンスはたくさんあります。傷ついた子のケアには、獣医師とも連携して尽力しています。
保護から回復までの様子①

  愛兔協会では、救助からうさぎが元気を取り戻すまでの様子を一部記録し、youtubeで公開しています。
 このうさぎは、発見者が最初うさぎだとは思わなかったというほど、痛々しく変わり果てた姿(写真左)で路上に遺棄されていました。
【動画はこちらより:https://www.youtube.com/watch?v=3eHHd_HIPOo】

保護から回復までの様子②

  保護当時、爪は伸び放題で被毛はぼろぼろ、鼻のかさぶたが角のようになっていたうさぎ(写真左)。
愛兔協会スタッフの献身的なケアにより綺麗な姿を取り戻し、温かい里親さんに迎えられました(写真右)。
【動画はこちらより:https://www.youtube.com/watch?v=cil6DCYPwNU】

── (動画を見て)保護前と後ではまるで別人(兎)のようです。保護される前の苦しみは、どれほどのものだったしょうか…。
 最終目標は新しい家族のもとへ送り出すことだと思いますが、実際に里親の見つかる割合を教えていただいてもよろしいでしょうか?
TINAさん
健康なうさぎであれば、保護から1年以内に8割ほどが新しい家族に迎えられています。
2年以内では9割以上になりますね。
── 多くのうさぎさんに新しい家族が見つかっているのですね! かなり高い数値に思えます。
TINAさん
それでも、里親さんはしっかり厳しく選考しており、マイクロチップの埋め込みを義務化していますので、譲渡後に不当飼育が発覚したり、返却の申し出がある割合は1%未満なんですよ。 

ただ、悲しいことに遺棄されるうさぎの数はなかなか減ってはいきません。
愛兔協会では、台湾全土に保護の輪を広げるために、昨年(2018年)台湾南部の高雄市にもシェルターを新設しました。高雄のシェルターはオープンしたばかりでまだまだ人手や資源も充足していませんが、台南地域をカバーする重要な拠点になっていくと考えています。
1匹でも多くのうさぎを救うため、これからも活動を続けて行きますよ!

2,里親への譲渡手続きに関して

|  WOOLYインタビュー
── 保護されたうさぎは、どのような手順で里親さんに迎えられるのでしょうか?
TINAさん
まずはご希望のうさぎを選んでいただきます。
実際に愛兔協会のシェルターに会いに来ていただくこともできますし、webサイト上でもうさぎの情報を公開しているので、そこからご覧になれます。 ただし、8ヶ月以下の幼兎はご希望いただけません。

次に申込書を提出していただきます。協会へ直接お持ちいただくか、こちらもwebサイト上からお申し込みいただけます。
愛兔協会ホームページより

  愛兔協会のwebサイトでは、台北・高雄それぞれに在籍する保護うさぎやモルモットの詳細な情報が確認できます。各うさぎの個別ページには「申し込み」ボタンがついており、webサイト上から里親希望の申請を行うことが可能となっています。

TINAさん
里親の条件として、特に下記4つは必須項目です。
 満20歳以上で安定した収入源があること。
  ②家族全員の同意が得られていること。
  ③譲渡後にマイクロチップの埋め込みと登録を必ず行うこと。
  ④飼育することになる部屋の写真と、飼育に必要な用品の写真もしくは購入予定のリストを事前に提出すること。


他にも、申し込み時には飼育知識などを問う質問に答えていただきます。
一次審査はコンピュータにより行われ、身分証番号に偽りがある方、うさぎへの基礎知識が無い方、過去に不当飼育等で通報されたことがある方、牧場や学校、店舗等の自宅以外で飼育予定の方は自動で除外されます。
── 日本では、うさぎにマイクロチップを埋め込むことは浸透していないので、目新しく感じます。
TINAさん
マイクロチップは新たな遺棄や不当飼育を防ぐことに大いに役立つと考えています。
すでに1度人間の身勝手で棄てられたうさぎを、再び不幸な目に遭わせる訳にはいきませんからね。
譲渡に際して、協会で必ず実施する避妊・去勢施術費用やそれまでの飼育費等をいただくことはありませんが、譲渡後の「マイクロチップの埋め込み」に関しては里親さん負担で必ず行っていただくよう固く約束します。
── 一次審査の通過後は面接でしょうか?
TINAさん
はい、協会スタッフによる面接を行います。
面接の基準を説明することは難しいのですが……とにかく、「うさぎが幸せに暮らすことができるか」という観点で信頼できる里親さんかを見定めます。
厳しく選定した上で、時には2匹を同時に家族に迎えていただくこともありますよ。

面接に通過した方には飼育に関する誓約書を交わした上で、譲渡が決定いたします。
── 譲渡後も里親さんとの交流はありますか?
TINAさん
里親さんには、SNSでも協会にお越しいただいても良いので、定期的に近況報告を行っていただくようにお願いしています。
あまりに音沙汰がない場合は、こちらから飼育状況の追跡を行うこともありますね。
協会では定期的に里親さん同士が集まる交流イベントも開催していて、とても好評ですよ。

3,職員やボランティアスタッフのこと

■ 人員構成   *2019年取材時点

会長 1名  執行役 1名  職員 3名 
ボランティア約90〜120名(年間)

・ 職員 3名 それぞれが専門の役割を持っている。
① 企画や広報を担当する係(TINAさん)
② 特別なケアを必要とするうさぎのお世話係
③ 保護や救助に関するとりまとめを行う係
・ ベテランボランティア 約10名 職員が信頼を置いている、活動歴の長いボランティアスタッフ。
施設の運営を補助する他、ケアが必要なうさぎを自宅に連れて帰り、お世話をする場合もある。
・ 施設内ボランティア(シフト制) 施設内のうさぎのお世話(掃除、給水、給餌、爪切り、グルーミングなど)を行う。
・ 施設外ボランティア(不定期) 愛兔協会が主催するイベントやバザー、展示会出展時の補助、うさぎの救助活動など、突発的に人手が欲しいときに日時を指定して募集される。
月2,3回行われる小さな催しで毎回8名程度、大型のイベントで20名程度が集まる。
・ ネット上のボランティア SNS上の問合せの取次など、webを通して手助けをしてくれる有志の方々。
名簿などはなく、人数も把握はしていないが、多くの人が善意を持って協力している。
活動写真

  愛兔協会のボランティアは、黄色のユニフォームを着用して活動にあたります。エントランスにはスタッフの生き生きとした姿を収めた写真がずらりと並んでいます。

|  WOOLYインタビュー
── 職員であるTINAさんは、愛兎協会立ち上げからのメンバーですよね。
         最初は何名でスタートしたのですか?
TINAさん
協会設立時のメンバーは、私と、現会長、執行役の3名でした。
今の私は企画を担当する職員として給与をいただき、愛兔協会一本で活動していますが、立ち上げ時は全員がボランティアだったので、会社員としての仕事と両立する日々でした。

ちなみに、私と執行役はもともと同じ会社の上司・部下の間柄だったんですよ。同じうさぎ好きとして意気投合し、活動に誘われたんです。
── たった3名の活動から、これほど大きな組織になったのですね。
        ボランティアスタッフは活動の肝だと思いますが、どのように募集されているのでしょうか?
TINAさん
主にwebサイトからお申し込みいただいています。
ボランティア専用のwebページを用意していて、一度ボランティア登録をしていただくと、マイページへのログインでボランティアを必要としている日時がわかったり、希望の内容に参加の申し込みができるようになります。
── ボランティア用のシステムを完備されているのですね!
         見たところ、大きく分けて「施設内のうさぎのお世話を行う」ボランティアと、「イベント補助や救助活動に従事する」ボランティア活動の2種類があるようですが、それぞれどのような条件で募集されていますか?
TINAさん
まず、施設内のボランティアは、男女共に満13歳(中学生)以上から1人で応募することが可能です。ただしご両親と一緒であれば、小学生でも参加できます。
1回5時間ほどのまとまった時間をとれることが条件で、シフトを組んで定期的に活動していただきます。
活動時間はおおむね、平日で13:00〜16:00、休日で10:00〜16:00です。
── ボランティア内容はどのようなものでしょうか?
TINAさん
基本的にはうさぎのケージを掃除したり、給水、給餌、爪切り、グルーミング等のお世話ですね。
熟練度に応じて任せる内容も異なります。

ボランティア1人につき3匹の担当うさぎが決められるので、みんな担当のうさぎに愛着を持ってお世話していますよ。
── 担当のうさぎがいると、定期的なお世話がより楽しくなりそうですね。
活動写真

  ボランティアスタッフによるケージ掃除の様子。それぞれ担当するうさぎが決まっているので、素早く効率的にお世話を行うことができます。

TINAさん
次にイベントや救助活動補助の不定期なボランティアスタッフですが、こちらはやや年齢が上がって満16歳以上が対象となります。
活動時間はだいたい1回5〜8時間程度ですね。
ボランティアが必要なイベント毎にこちらで日時や場所を指定して、現地に直接集合していただきます。
救助活動の様子

  通報のあった現場へ駆けつけるボランティアスタッフたち。多頭飼育崩壊の現場など、時には1度に30匹以上のうさぎを引き取ることもあり、多くの人手とまとまった時間が必要です。

展示会出展時の様子

  展示会への出展はたくさんの人に協会の活動を知ってもらえる絶好の機会です。ボランティアスタッフは設営準備のほか、協会の活動やうさぎの飼い方を伝える解説員としても活躍します。

── ボランティアに参加する方は、どのような方が多いですか?
TINAさん
やっぱりうさぎ好きが多く、家で飼育してたり、過去に飼育していた方が多いです。
学生が6割、社会人が4割ほどですね。
交通費は自己負担になってしまうのですが、それでも台湾全土からの応募があります。
── 広く愛兔協会の理念や評判が広がっているからこそですね。
        愛兔協会でのボランティア活動の魅力はどんなところだと思いますか?
TINAさん
ボランティア自身も成長できることでしょうか。
愛兔協会では、トリミング講習や獣医師による講演会も数多く主催しています。
そういった催しに参加し、実際のボランティア活動で講習内容を活かすうちに、うさぎに対しての知識を深め、スキルを磨いていく方も多いです。
実際に、ボランティアが中心となって「うさぎのトリミング」イベントを開催することもあるんですよ。

4,運営に関する資金のこと

■ 年間支出入   *2018年

収入 3,067,723台湾元 ※寄付のみ
(日本円で約1,100万円程度)
支出 4,628,914台湾元
(日本円で約1,650万円)

|  WOOLYインタビュー
── 非営利組織として、やはり資金調達の問題は大きいのでしょうか。
TINAさん
そうですね。特に政府からの決まった補助金がある訳でも、大きな企業がスポンサーについている訳でもないので、個人の方からの募金が頼りです。
特に正式な団体として認証される前は、やはり信頼性がないので、寄付を集めることがとても難しかったです。余談ですが、当時は保護に駆けつけても不審がられたりしていましたね…。

そうした苦労も経験してきたので、たくさんの方に支えられている現在の状況はとてもありがたいです。
しかも寄付をしてくださっている方の多くは、毎月自動で定額が振り込まれる「定額寄付」に申し込んでくださっているんですよ。 
── 「定額寄付」の割合が高いと、財政基盤の安定化にもつながりますね。
TINAさん
はい。ただ、今のところ寄付金額だけでは出費を賄えていないので、ペットホテルや用品の販売、バザーの開催等で資金を補っています。
全収入の割合としては、定額寄付が55%、一般寄付が28%、そのほかホテル・商品売上等で17%程度ですね。
流浪兔協会のショップスペース

  台北のシェルターには、充実した品揃えのショップスペースが併設されています。(ウーリー製品のお取り扱いも!)

流浪兔協会のショップスペース

  こちらは同じくシェルター内に併設されているうさぎ専用のペットホテル。保護うさぎが暮らしているケージと同じく、協会特注ケージを使用しています。

《上段》
中ケージ:1泊350台湾元(日本円で約1,300円)
《下段》
大ケージ:1泊450台湾元(日本円で約1,600円)
*牧草・フード代込(持ち込みもOK)

── ショップもホテルも、うさぎ専門という点が飼い主さんにとって嬉しいですね。
TINAさん
ええ、「うさぎ専門」のお店はまだまだ台湾で一般的ではないですからね。協会出身の子かどうかに関わらずご利用いただいていて、とても好評です。
ペットホテルは、ケージでのお預かりに抵抗がある方向けに、サークルでのお部屋もご用意してありますよ。
こちらは1泊700台湾元(日本円で約2,500円)です。
ペットホテルのサークル部屋
── ひ、広い!!しかもリーズナブル……!
TINAさん
サークルのお部屋は、同じ飼い主さんであれば2匹同時にご使用いただけるので、いつも一緒に過ごしているというような子にもおすすめですね!
ちなみに保護うさぎのお世話はボランティアが中心ですが、このペットホテルは、お金もいただいているので職員が責任をもってお世話しています。

お預かり時に記入いただいた基本情報や給餌指示に基づいて、毎日記録もつけています。
ボトル型の給水器か、お皿かも受付時にお好みで選べるんですよ。

あとは……そうそう、ケージ・サークルともに全室ペットカメラがついているので、飼い主さんには24時間スマートフォンでうさぎの様子を確認していただけることもこだわりです。
── うさぎ専門ならではの、細部までの気遣いがすごいです…!
TINAさん
ありがとうございます!
宿泊はチケット制にしていて、 愛兔協会のボランティアスタッフにはお給料はお出しできませんが、活動期間に応じてこの宿泊チケットをお渡ししたり、ショップでの割引サービスを行なって、お礼の気持ちを伝えています。
記録カードと宿泊チケット

  お預かり中に毎日チェックする記録カード(写真左)と、宿泊チケット(写真右)。
付帯事業と思わせない、本格的な運営です。

── チケットのデザインも、海外の紙幣のようでとても可愛いです。こだわりの詰まったペットホテルのご紹介、ありがとうございました。
        今度は支出面のお話も伺っていいでしょうか?
TINAさん
保護に関する支出入は、毎年、月ごとの内訳を政府へ提出する必要があるのでしっかり記録していますよ。
実際に一ヶ月の支出表を見ていただいた方が早いですね。
── 収支報告書を見せていただいたので、例として「2019年2月」の支出明細表(※保護活動のみ)を日本語でご紹介いたします。
・ シェルター賃料 (2箇所)
135,000台湾元
(日本円で約480,000円)
・ 水道光熱費 12,523台湾元
(約44,500円)
・ 修繕費 55,028台湾元
(約195,000円)
・ 旅費交通費

(ガソリン、駐車場等)

8,569台湾元
(約30,500円)
・ 保護うさぎの生活用品費

(ペットシーツ、掃除用具、給水ボトル、トイレ等の長期的な世話に必要な物)

35,414台湾元
(約126,000円)
・ 保護うさぎの食費

(牧草、ペットフード、病気の子へのサプリメントや特別食)

19,292台湾元
(約68,500円)
・ 保護うさぎの医療・看護費

(去勢・避妊手術、入院、健康診断、レントゲン等)

123,862台湾元
(約441,000円)
・ 保護うさぎの機具・設備費

(ケージ、捕獲器、ヒーター等、施設内で使用する機具・設備)

16,990台湾元
(約60,500円)
・ イベント用雑費 320台湾元
(約1,100円)
・ 保険料

(イベント時のボランティア保険等)

当月は支払いなし
・ 事務用品費

(文具、用紙、インク、その他消耗品)

6,962台湾元
(約24,800円)
・ 雑費 621台湾元
(約2,200円)
・ 支払手数料 

(振込手数料、代引手数料等)

10,090台湾元
(約35,900円)
・ 通信費

(切手、電話、インターネット)

13,033台湾元
(約4,600円)
・ 運賃 5,301台湾元
(約18,800円)

2019年2月 支出合計
※保護活動のみ

443,005台湾元
(約1,576,000円)

TINAさん
うさぎの保護頭数、病気の有無、イベントの開催・出展などで左右されますが、このくらいの費用は毎月かかってきますね。
あまり一度にお金がかかりすぎないように、高額な設備を導入する時などは分割で支払ったりしています。

今は正直、昨年(2018年)高雄市にもう一つの拠点を開設したばかりなので、人手も資源も余裕のない状態ですが……でも、ここが踏ん張りどきだと思って、頑張っていきますよ!

5,保護以外の活動について

|  WOOLYインタビュー
── 台北市の拠点は3フロアあって、とても広いですね。
TINAさん
ええ。最初は保護うさぎのスペースだけでいっぱいいっぱいでしたが、2014年にこちらに移転した時にショップとペットホテルを併設して、2016年のフロア拡張時に一般の方向けのスペースを作りました。

こちらは図書スペースで、国内外のうさぎに関する書籍を自由に閲覧いただくことができるようになっています。
図書スペース

  一般の人も自由に利用できるうさぎ専用の図書スペース。書架には日本の有名うさぎ専門誌も(写真右)。

── 日本の本も置かれているんですね。
TINAさん
台湾には、日本語が分かる人も結構いるんですよ。それにウーリーさんをはじめとして、日本製のうさぎ用品はとても人気です。

図書スペースの奥は「愛兔教室」と呼んでいる、講演会・講習会用お部屋です。
ここではうさぎを専門に扱っている獣医師の先生を招いて勉強会を開いたり、ボランティアスタッフの研修を行ったりしています。
勉強会の様子

  愛兔協会主催の勉強会には、うさぎについての知識を深めようと毎回部屋いっぱいの参加者が集まります。

TINAさん
このように教室の壁面は展示スペースとしても活用していて、うさぎをモチーフに活動しているアーティストさんの作品を定期的に展示替えしつつ飾っています。
うさぎ尽くしのお部屋です!
作家さんのうさぎ作品
── 施設の外でも、うさぎに関する教育活動を行う時はあるのでしょうか? 
TINAさん
小学校や中学校に出向いて「うさ姉さんの教室」を開催しています。
うさぎはとても繊細な友達なので触れ合い方に気をつけ欲しいこと、どんな食べ物を食べているのか、お世話の大変さ等、子供たちに楽しくわかりやすく伝えるためのイベントです。

不当飼育の多くは、家畜だった時代の古く間違った飼育方法を信じていたり、正しい知識がないまま飼うことにより起こっていますので、 若い世代にうさぎのことを深く知ってもらえれば、これから台湾の状況も変わっていくと信じています。
活動写真

  子供達から届いたお礼の手紙には、「うさ姉さんありがとう!」のメッセージと共に、うさぎや人参のイラストが描かれていました。

── 日本でも、病気や飼い方については不明瞭なまま、「犬や猫に比べて飼いやすい」イメージだけが先行してしまいがちです。
        素晴らしい取り組みですね。
TINAさん
他にもうさぎへの知識を深める取り組みとして、協会誌づくりにも力を入れていますよ。 こちらの「Love Rabbit」という40p程の小雑誌です。
協会誌「Love Rabbit」
最初は活動報告のためのシンプルなものだったのですが、今ではうさぎやモルモットがかかり易い病気や、小動物を専門に扱う動物病院の紹介、獣医師のインタビュー等、どんどん内容が濃くなっています(笑)
もちろんボランティアや寄付のご案内、愛兔協会で保護しているうさぎの様子を掲載したり、協会の情報発信もしっかり行っていますよ。
協会誌のご紹介

  協会誌「Love Rabbit」。A5サイズの誌面には、うさぎやモルモットにまつわる情報がぎっしりと詰まっています。

TINAさん
編集は私一人で行っているので、保護活動が忙しい時などは少し遅れてしまいますが、基本的には年4回発行しています。

WOOLYさんにもご協力いただいているように、制作に関する費用はほとんど企業広告で賄っているので、協会本部や動物病院で50台湾元(日本円で約180円)でお求めいただけます。
台湾の最新のうさぎ・モルモット情報を載せているので、多くの方に手に取っていただきたいですね。

愛兔協会の設立前は、うさぎの飼い主さんを集め、正しい飼い方について相談を受けたり、意見交換を行う場をよく設けていました。 なので自然と、保護活動と並行してこうした啓発活動にも力を入れる流れとなったんですよ。
|  おわりに
── TINAさん、今日はお忙しいなか施設内をご案内いただいたり、インタビューにご対応くださり、ありがとうございました。
         愛兔協会の幅広い活動と、その理念をよく知ることができました。
TINAさん
どういたしまして!
そうそう、愛兔協会を設立した2月2日は、「愛兔祭りの日」として大きなイベントを行うんです。
中国語で「2月2日」と「兎」の読み方(発音)が一緒なことに因んでいるんですよ。
そうした楽しい催しもあるので、ぜひまた遊びにきてくださいね。